株式会社シュアルタの nishimotz です。
この記事では主にNVDA日本語版に関する2024年の活動をご報告します。
NVDA日本語チーム
nishimotz が現在、NVDA日本語チームの委託によって行なっている活動は note @24motz にて随時報告しています。
主にNVDA日本語版のリリースをお知らせし、特にお伝えしたいことがあれば付け加えています。
note ではアイキャッチ画像に、スマートフォンで撮影した青空や雲の写真を使っています。この記事でも同じように青空の写真を使っています。
NVDA日本語チームの事務局の業務も行なっています。
最近は GitHub Sponsor の設定を行いましたので、ご検討いただければ幸いです。
サイトワールド2024
NVDA日本語チームのイベントとして、サイトワールド2024に参加しました。
以前は「NVDAを使うとどんなメリットがあるのか」を説明するだけで苦労していましたが、やっとユーザーの方々から利点や魅力を語っていただけるようになったと感じています。
「情報の共有だけではなく、情報利用の体験の共有も」
YouTube で録音を公開しています。
サイトワールド2024_Life with NVDA ~NVDA利用者の仕事術を知ろう~
ポッドキャスト
日本視覚障害者ICTネットワークのポッドキャストの収録(インタビュー)にも参加しました。
視覚障害者とPython
「情報利用の体験の共有」にNVDAが役立っていることは、12月26日に開催した「すごい広島 with Python ゲストトーク」でもあらためて紹介しました。
スクリーンリーダーでアクセシビリティチェック
4月の話に戻りますが、今度はデザインやウェブ制作の方々を主な対象としたイベントのお話です。
私がふだん参加している広島の勉強会で登壇しました。
2024年4月13日 第116回「WEB TOUCH MEETING」アクセシビリティSP
スライドを公開しています。
NVDAチートシート
NVDA日本語版をアクセシビリティ検証者に使っていただくための操作早見表、いわゆるチートシートを以前から作成し、イベント等で配布しています。
2024年11月の更新で、縦レイアウトの3カラム構成、デスクトップとラップトップの説明を分ける、といった改善が行われました。
ウェブアクセシビリティ基盤委員会
WCAGをJIS規格にするための原案作成団体であるウェブアクセシビリティ基盤委員会で、実装ワーキンググループの主査として活動しています。
ことしはこの活動の一部として、ASテスト体験会を1月、6月、10月に開催しました。2025年1月にも開催する予定です。
先日の記事「動画をレベルAAAにする」は、主査としての活動そのものではありませんが、作業部会で得た WCAG の知識に基づいています。
2025年は WCAG 2.2 に基づいて JIS X8341-3 を改正する活動が本格化する予定で、そちらにも私は参加していきます。
ARIA-Barriers記事の更新
ARIA-Barriers はウェブアクセシビリティの失敗事例を、実際に操作してもらえるコンテンツとして発信するために作ったサイトです。ACT Laboratory (Accessible Tools Laboratory)のみなさんに協力していただいています。
最近のウェブ制作、ウェブ開発は非常に複雑になり、アクセシビリティに関する問題の原因を切り分けることが難しくなりました。
実装が誤っていると思われる例を見つけても、それをそのまま紹介するわけにもいきません。
このように考えて、実装の誤った例を自分たちで作り直して、それを紹介しながら問題提起していきます。
What You Like May Not Be for Someone オープンソースとアクセシビリティ
カンファレンス登壇でNVDAについて紹介する機会があり、NVDA日本語版とウェブアクセシビリティ基盤委員会の活動を中心にお話することが多いです。
広島で開催されたYAPCには運営メンバーとしても参加し、カンファレンスのテーマが「お好み」ということで、やや皮肉っぽく「誰かの好みが誰かを排除するかもしれない」という問題意識でタイトルをつけました。
2024年2月10日
シュアルタのイベント協賛
ここで、株式会社シュアルタがスポンサーとして支援したイベントをご紹介します。
名古屋で掲示したパネルを公開しています。福岡でもだいたい同じ内容のパネルを掲示しました。
この内容は、ウェブアクセシビリティ基盤委員会の活動である「アクセシビリティサポーテッド情報」の作成を自動化できるか、という研究であり、NVDAの開発で行われている自動テスト技術の紹介でもあります。
スポンサーの広告宣伝にはあまりそぐわない内容とは思いますが、このような技術や活動に興味を持つ人が増えることを願っています。
PyCon JP 2024
今年取り組んだこの技術については、Pythonのカンファレンスである PyCon JP 2024 でも喋る機会を得ました。
[PyCon JP 2024] Robot FrameworkとNVDAスクリーンリーダーによるアクセシビリティのテスト自動化 by Takuya Nishimoto
https://www.youtube.com/watch?v=t3AVfcIr4Cg
PyCon JP が日本で開催され始めたころから Python で開発されているスクリーンリーダーとして NVDA を紹介してきましたが、今回、PyCon JP そのものが私の地元である広島で2025年に開催され、座長を務めることになりました。
その他の活動とこれから
SNSアカウントや他のブログなど、私の活動の場は以下でご案内しています。
2024年4月に情報処理安全確保支援士として登録しましたが、実務経験はまだまだです。セキュリティが求められる組織の環境でのスクリーンリーダー利用について、NVDA 本家版が提供する情報を解説したり、独自に調査を行なったりして、情報提供やサポート等を行っていく予定です。
内閣府「障害者による情報取得等に資する機器等の開発及び普及の促進並びに質の向上に関する協議の場」(通称 情コミ法) は、2024年は5月に開催され、構成員としてオンラインで出席しました。
NVDA の開発元である NV Access に対しては、私自身が NVDA Expert として登録をしていると同時に、今年も Advisory Group メンバーとして、主にメーリングリストでの発言や情報提供を行なっています。
2024年も大きな注目を集めた生成AIですが、ソフトウェア開発、翻訳、不具合報告の作成、登壇準備など、私もずっと活用しました。
アクセシビリティについて考えていくために、新しいデバイスやユーザーインタフェースの知見が役立つはずです。2024年は Quest 3 や Vision Pro などのVRデバイスでいろいろな気づきを得ました。
2018年2月に設立した株式会社シュアルタは、2025年2月からは適格請求書発行事業者となります。
お客様やパートナーの皆様とともに成長し、価値を創出する一年にしていきたいと考えています。
2025年もどうぞよろしくお願いいたします。
株式会社シュアルタ 西本卓也